不能の人。
会社で読書のことが話題になった。
社内ではあまり公言していなかったのだけれど、
最も大切な作家が村上春樹氏である旨を述べてみた。
多からずではあるが、読者が存在することを確認出来た。
オススメの作品は何か。
そんな話題になった。
以前ならば幾つかの作品を挙げることが出来たのだけれど、
昨日はどうも勧める気にならなかった。
人気作家だけれど、果たして普遍的に他人へ推奨できる作品はあるだろうか?
そんなことがアタマをよぎった。
シングルモルトウィスキーは旨いに違いないにしても、
モルトに興味の無い人に旨いモルトを勧めることが出来るのか。
そんな感じを覚えてしまった。
その場のメンバーの多くは東野圭吾氏を読む人が多かったので、
どれかオススメを挙げてみても面白かったかもしれない。
その場では少数派であった、村上春樹読者の一人は、
「オススメは『風の歌を訊け』、
けれどイチバン好きなのは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』」と言われていた。
『風の歌を訊け』を勧める勇気は僕にはなかったのだけれど、
『世界の終わりとハードボイルドワンダー』については激しく同意をしてしまった。
「『1Q84』はもう読まれましたか」の質問があり、
発売日一日前に幸いにして入手出来たのだけれどまだ手を付けていないと答えた。
読むのならまとまって一気に読みみたいので時間を作る必要があると言うと、
他のメンバーはかなり意外そうであった。
実のところ。
今はアタマが活字を全く要求してこない。
だからページを開くことが出来ないのである。
活字的インポテンツ、とでも言っておこうか。
季節も秋になったので、
街中の猫たちのような活字的サカリが来るかもしれない。
けれど、今は不能者であるのだ。








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